国民生活基礎調査のデータを二次的に解析した結果、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック期間中、日本でも乳がん検診の受診率が低下していたことを確認しました。また、45-49歳の女性や被用者保険の被扶養の女性など低下率が大きかった集団を同定しました。
 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)中、多くの国で乳がん検診の受診率低下が報告されました。しかし、日本においては、乳がん検診受診率の全国的な変化は明らかになっていませんでした。

 本研究では2019年と2022年の国民生活基礎調査(世帯票と健康票)のデータを二次的に解析し、パンデミック前とパンデミック中で乳がん検診受診率がどのように変化したかを調べました。さらに、受診率の低下が大きい集団を同定しました。

 分析の結果、パンデミック前の受診率は48.3%(受診機会ごとでは、市区町村検診18.7%、職域検診17.0%、その他12.6%)、パンデミック中の受診率は47.1%(市区町村検診17.2%、職域検診17.5%、その他12.4%)でした。つまり、パンデミック中に全体の受診率は低下し、受診機会ごとの受診率では、市区町村検診が減少した一方、職域検診が増加しました。

 受診率の大きく低下した集団は、年齢ごとに見ると45-49歳の女性、居住地域ごとに見ると町村に住む女性、教育歴ごとに見ると高校卒と専門学校・短大・高専卒の女性、健康保険ごとに見ると被用者保険の被扶養の女性でした。

 政府は2023年3月に閣議決定した第4期がん対策推進基本計画で、がん検診受診率を60%以上にする目標を掲げています。乳がん検診でこの目標を達成するには、パンデミック中に低下した受診率を向上させるとともに、一般住民・がん検診に携わる人々の意識を高めていくことが改めて必要だと考えられます。

引用元:
新型コロナウイルスのパンデミック中に乳がん検診受診率は低下した(筑波大学)