子どもをもうける人の視点に立った仕組みにすることが重要だ。
国が出産への公的医療保険適用を検討している。来春までに有識者会議で論点を整理し、2026年度からの導入を目指す。
帝王切開などをしない正常分娩(ぶんべん)は、病気やけがの治療と異なり、保険診療の対象とならない。適用になれば、自己負担が原則3割で済む。その分も国が給付し、負担ゼロとする方針だ。
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医療サービスは本来、全国どこでも同じ価格、同じ水準で提供されることが望ましい。出産もその形に近付くことになる。
現在は医療保険から出産育児一時金として50万円が支給され、妊婦の経済的負担をカバーしている。ただ、出産は自由診療のため、医療機関によって料金にばらつきがある。東京など都市部は高額の施設が多く、一時金では賄えないケースもある。
一時金は段階的に引き上げられてきたが、それに合わせ医療機関側も値上げするという「いたちごっこ」が起きてきた。保険適用によって、そうした問題はなくなる。
一方、医療機関側からは反対の声が出ている。現行の料金よりも公定価格が低く抑えられると収入が減り、産科診療所などの経営が立ち行かなくなると主張する。
分娩を扱う施設は、06〜22年の間に約4割減った。閉院が加速し、身近な診療所がなくなれば、出産場所を見つけるのに苦労する人が増えかねない。
厚生労働省は出産費用などの「見える化」を進めるため、今年から出産施設の情報サイト「出産なび」の運用を始めた
出生数の減少に伴い、大病院への集約化が進む流れにあるが、施設が混雑してリスクの高い妊婦への対応に支障が出る事態は避けねばならない。人員配置への支援など、手立てを講じる必要がある。
どこまで保険適用の対象とするかも課題となる。例えば「無痛分娩」の扱いだ。今は10万〜20万円程度が上乗せされ、医師会の調査では妊婦の1割強が利用している。麻酔科医の確保に課題があり、現時点で一律の適用はなじみにくいが、高まるニーズを踏まえた対応が求められる。
不妊治療の保険適用などと並び国の少子化対策のメニューとして浮上した施策だが、大切なのは妊婦の安全・安心に資する制度を作ることだ。適切な医療の提供に向け、丁寧な議論を重ねたい。
引用元:
出産の保険適用 妊婦が安心できる制度に(毎日新聞)