「CREA」2023年夏号は、10年ぶりに「母」をテーマにした特集です。
女性たちにとって「母になる」ことがもはや当たり前の選択肢ではなくなった日本の社会状況。政府が少子化対策を謳う一方で、なぜ出生数は減る一方なのか? この10年間で女性たちの意識、社会はどう変わったのか? 「母」となった女性、「母」とならなかった女性がいま思うことは? 徹底的に「母」について考えた一冊です。
今回、10年ぶりとなるCREAの「母」をテーマにした特集。その表紙にイモトアヤコさんが登場してくれました。
20歳でのデビュー以来、世界中を冒険してきたイモトさんは、2021年、35歳のときに出産。現在1歳の息子さんの子育てをしながら、テレビやラジオへの出演、エッセイの執筆など、幅広く活躍しています。
お話を伺うと、葛藤や迷いを乗り越えながら、そこには、彼女らしく全力で育児に向き合う姿が――。今回は特別にインタビュー全文を掲載します。
お腹は大きくなるのに、お母さんになる実感がない!
新緑がまぶしい公園。「おはようございますー!」と自ら運転する愛車で、颯爽と登場したイモトさん。まだ一歳半の我が子を抱きながら、片手で器用にベビーカーを広げる。その姿は、テレビで見る「イモトアヤコ」とはまた違う、リラックスした空気を漂わせる。
珍獣ハンターとして、世界中を飛び回っていた彼女が「子どもを持つこと」を意識したのは、結婚、そしてコロナ禍がきっかけだった。
「もともと1カ月の半分以上は海外にいる生活をしていて、常に目の前のことでいっぱいで、子どもが欲しいかどうかも考えたことがなかったんです。でも結婚して、私も夫も子どもが欲しいと自然に考えるようになった。そのころにコロナ禍が始まり、立ち止まって考える時間ができて。この機会に妊活するか! って」
なかなか思うように行かず、焦ることもあったという妊活の日々を経て、妊娠。だが、妊娠・出産をしたらしたで、今度は体や環境の急激な変化に気持ちが付いていかず、戸惑うことも多かった。
「自分が出産するまでは、妊娠して産んだ瞬間に『お母さん』になって、聖母マリアみたいに母性が溢れだすイメージがあったんです。でも、お腹が大きくなってもお母さんになる実感が持てなくて、大丈夫か私!? って。
出産も感動的な対面を思い描いていたのに、無痛分娩の予定が急きょ帝王切開になって、さらに局所麻酔がまったく効かないというトラブルで全身麻酔に。感動どころか意識もないまま出産してました(笑)」
人生の選択に正解はないから、自分らしく生きたい
そんな理想と現実のギャップに翻弄されながら、イモトさんは出産後、1カ月間、家にこもって過ごしていたという。
「1カ月検診までは、お母さんも赤ちゃんも家で安静にしていた方がいいという話を真剣に受け止めて、本当に一歩も外に出なかったんです。実家から母が手伝いに来てくれていたからできたんですが、今思えば、初めての出産で“お母さんはこうしなきゃ”みたいな自分の認識に、がんじがらめになっちゃってたんだと思います。
産後2カ月の頃、息子を義母に頼んで病院に行って、帰りに産後初めてカフェでひとりでごはんを食べたんです。自由だーって涙が出るほど嬉しかったんですけど、隣の席の人に“イモトさんですか?”って声を掛けられて。とっさに“すいません、今、病院の帰りで……”って謝ってたんです。誰も責めてないのに。
その時にこれはやべえぞ、と。せっかくかわいい子を産んでハッピーなはずなのに、こんなことばかり気にしていたら、自分にも息子にも絶対によくない。もっと自由でいいじゃん! と、意識を変えるようにしました」
出産前後は「お母さんらしい格好をしなきゃ」とファッションも守りに入っていたが、最近は大好きな古着を楽しむなど、肩の力を抜いて過ごせるようになった。
「自然に変わるぶんにはいいと思うんですが、今まで、人は人、私は私と思って生きてきたので、周りと同じでないと……というのは私らしくない。定期的に振り返って、私らしくなかったら、自分で自分をツッコむようにしてます(笑)」
そんなふうにブレた自分も笑い飛ばすイモトさんを見ていると、心がふっと軽くなってくる。
「母親であることに葛藤したからこそ、自分の母に対する気持ちも変わりました。ひとりで大きくなったつもりでいたけど、大変だったよねって有り難みがわかったし、お母さんにも母親になる前の人生があったことに気付けた。
私の知らない人間関係や夢もあっただろうし、もし別の選択をしていたら私も私の息子も生まれてなかった。そう思うと、何が正解とかなくて、今の自分を大事に生きないとなと思うようになりました」
ワニを捕まえるのも出産育児も、私にとっては同じぐらい“冒険”
今回の撮影に、イモトさんとともに参加してくれた息子さん。手を離すとチャンス! とばかりにトコトコ脱走する彼とコラー! と嬉しそうに追いかけるイモトさんの姿に、スタッフ一同も笑顔に。
「これまでアマゾンでワニを捕まえたり、いろんな冒険をしてきたけど、私にとっては子どもを授かりたいと思ってから妊娠・出産までの日々もそれに負けないぐらいの冒険で、今も続いてます。
子どものいる生活は毎日未知のことだらけ。仕事とはまた違った大変さがあるけど、日々の発見もあるし、やっぱり楽しいですね」
産後5カ月ぐらいから少しずつ仕事を再開し、今年4月には産後初の海外ロケにも復帰した。妊活中に立ち上げたWEBマガジン「よかん日和」では「旅するように暮らす」をコンセプトに、⽇々のわくわくをコラムや動画で発信。自ら監修したオリジナルコーヒー豆の販売をスタートするなど、多彩な活動を楽しんでいる。
「子どもができて物理的に制約が出ることもあるからこそ、新しいチャレンジに怯えたくなくて。やりたかったらやっちゃえ! って方向に変わってきました。
女の人は母親になったら変わると言われることがありますが、もともといろいろな種類の仕事をしている自分、生活をしている自分がいて、そこにお母さんというキャラクターがいっこ増えた感じなんです。
その全部が私には大切な冒険なので、いろんな人に助けてもらいながら、がんばりすぎず自分らしく、自分で自分にツッコミながらやっていくのが私には合ってる。
息子もまだ小さいので、できないことを私と夫で助けているけど、もう少し大きくなれば彼にも好きなことや得意なことができて、俺はこの担当で行く! みたいになっていけばいい。チーム“家族”の一員として、一緒に冒険して、一緒に成長して、おもしろがって生きていきたいですね」
誌面には、インタビューとともにCREAのためにイモトさんが言葉を書き、息子さん出演してくれた誌上“絵本”が掲載されている。テーマは「冒険」だ。柳智之さんの愛らしい動物のイラストがふたりの冒険を彩り、イモトさんが息子さんへの思いを綴った絵本『あなたと一緒に冒険して』を、ぜひ、誌面でチェックして。
●クライミング体験をしたのはここ
クライミングシーン撮影したのは、モンベル渋谷店。渋谷駅徒歩約8分と都心にありながら、エントランスの吹き抜けに高さ13mのクライミングウォールがそびえ立ち、クライミング体験が可能だ。地下1階から4階までの充実した物販コーナーには、登山やアウトドア用品が揃う。5階には多目的に利用できるサロン(イベントスペース)も。
モンベル渋谷店
所在地 東京都渋谷区宇田川町11-5
電話番号 03-5784-4005
営業時間 10:30〜21:00
定休日 無休
https://store.montbell.jp/search/shopinfo/?shop_no=618851
【クライミング体験】
時間/14:00〜17:00(最終受付16:45、定員に達し次第終了)
料金/中学生以上880円、小学生660円(身長120cm以上)
イモトアヤコ
1986年、鳥取県生まれ。日本テレビ『世界の果てまでイッテQ!』では世界118カ国を訪問、TBSラジオ『イモトアヤコのすっぴんしゃん』ではパーソナリティを務め、ドラマ、舞台など俳優業にも活躍の場を広げる。WEBマガジン「よかん日和」(https://www.yokanbiyori.com/)更新中。
引用元:
イモトアヤコが語る出産と子育て 「息子という仲間が増えて 私の冒険も、新しい章に入りました」(CREA)