低体重で生まれた赤ちゃんにドナーから集めた母乳を提供する「母乳バンク」が都内に開設されて1年となったのを受けて報告会が開かれ、医師が普及に向けて改めて協力を呼びかけました。
「母乳バンク」は、早産などで1500グラム未満の低体重で生まれた赤ちゃんに母親が母乳を与えられない場合に、ドナーから集めた母乳「ドナーミルク」を医療機関の要請に基づいて提供する施設です。
ベビー用品大手の「ピジョン」が本社ビル内に開設して1年となったのを受けて、報告会が開かれました。
はじめに「日本母乳バンク協会」の代表理事で、昭和大学医学部の水野克己教授が「低体重で生まれた赤ちゃんは母乳を与えることで重い病気にかかるリスクを減らすことができる」と説明しました。
そのうえで、昨年度ドナーとして登録した人が前年度の7倍にあたる161人に増えたことで200人余りの赤ちゃんにドナーミルクを提供できたことや、今年度は500人に提供できるという見通しを示しました。
一方で、都内の病院内にあったもう1か所の母乳バンクが新型コロナの影響で閉鎖されたため、ドナーミルクの保管場所に限りがあることや、ドナー登録する際の検診施設が不足していることなどを課題として挙げました。
報告会には、ドナーミルクを利用した赤ちゃんとその家族、担当医も出席しました。
めいちゃんは、母親が妊娠中にガンが見つかり治療のため帝王切開をして528グラムで生まれました。
担当医によりますと、めいちゃんは、生まれてすぐに母親の母乳を口に含むことができたものの、母親の体調が悪化したため、ドナーミルクを与えることになったということです。
母親は出産から6日目に亡くなりました。
めいちゃんは16日目に点滴で栄養をとるのを卒業し、27日目には自力で呼吸できるように、そして180日目には体重が4100グラムになり、退院できました。
1歳5か月になる今は大きな病気をすることなく元気に育っているということです。
担当医は「腸の一部が“え死”してしまう病気や感染症のリスクを下げられるので、母乳を使用することは大きなメリットがあると思う」と話していました。
父親は「これまで母乳バンクの存在は全く知らず、妻の意思も確認できない状態だったので戸惑いがありましたが、妻も娘のことを第1に考えるだろうと利用しました。大きな合併症もなく退院できて本当によかったと思います」と話していました。
「日本母乳バンク協会」の代表理事で、昭和大学医学部の水野克己教授は「母乳バンクについて知られてきているが、まだまだだと思う。早産児のお母さんの母乳が与えられないとき、赤ちゃんが元気に育っていくためにドナーミルクという選択肢があることをもっと周知していきたい」と話していました。
引用元:
母乳バンク 都内に開設され1年 ドナーミルクで救われた命(NHK.JP)