常喜眞理「女のココロとカラダ講座」
 最近、疲れやすく、集中力が低下し、「なんとなくイライラして氷をかじりたくなる」と言って、40歳代前半のAさんが相談にいらした。月経前によく体調不良を感じることがあったので、しばらくは月経前症候群ではないかと思っていたようだが、月経後も症状が続くため、心配になって来院したという。

 原因を調べるため、血液検査を行うと、赤血球が小さくなっている。血液中に鉄分が足りておらず、いわゆる鉄欠乏性貧血だった。

貧血の原因 一番は月経
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 女性の貧血の原因は、一番は月経だが、女性の2〜3割に見られる子宮筋腫やその他の婦人科系の病気によって、貧血がひどくなることがある。

 子宮筋腫では、筋腫の数が多くて子宮全体が腫れている場合や、筋腫は小さくても子宮の内側にでき、子宮の内側の面積が大きくなっている場合には、月経血量が増えて貧血になりやすい。時々は、経膣(けいちつ)超音波検査で、婦人科の病気がないか診てもらうのがお勧めだ。

 Aさんは少し前に、婦人科で子宮頸(けい)がん検診、経膣超音波検査も受けていたが、子宮内膜症や子宮筋腫など婦人科系の病気は指摘されなかったらしい。

偏食だと症状はさらにひどく
 Aさんのように、とくに病気がなくても、毎月の月経だけで貧血になってしまう女性は少なくない。偏食があれば、その症状はさらにひどくなる。Aさんは、幸い好き嫌いもないとのこと。赤身のお肉や魚などの良質なたんぱく質に加えて、鉄分の吸収を良くするビタミンCを含む野菜などをとって、バランスのよい食事を心がけるようアドバイスした。

 女性の血色素(ヘモグロビン)量の基準値は、およそ11.5〜15g/dl。Aさんは9.5g/dlであったため、しばらくは、鉄分を補う薬も内服してもらうことにした。

自覚症状なくとも改善が必要
 私は開業医のほか、産業医も務めており、会社の健診で貧血を指摘された女性に連絡をとることも多いのだが、本人が症状を自覚していない場合、連絡してもスルーされ、放置されてしまうことも結構ある。Aさんのように、症状を訴えて来院する方は意外に少ない。毎月の月経で少しずつ時間をかけて貧血になるため、自分ではあまり体の不調を感じていないケースも多いのだ。

 私は、貧血の女性に、「あなたはまるで、高い山の頂でデスクワークをしているようなものですよ」とよく言うのだが、当人はピンとこない。血液中の赤血球は、体に必要な酸素を運んでいる。だから、貧血になると酸素不足になってしまうのだ。

 その状態を長く放置し、体全体の酸素不足が続くと、血液を体に送るポンプである心臓にも負担をかける。自覚症状がなくとも、改善が必要だ。

鉄の過剰摂取には注意
 私は、患者さんの貧血が治って数値が基準範囲内になったら、その後は、月経が始まってからの10日間、鉄剤を内服してもらうようにしている。内服は2〜3日に1回でもいいのだが、間隔をあけてしまうと服用を忘れやすい。「お薬は胃に負担がかかる」と嫌がる方もいるが、妊婦さんも飲めるものであり、胃に負担をかけないよう工夫されている。ただし、鉄は過剰に摂取すると、肝臓に負担をかけてしまう。適度な具合かどうかは時々、血液検査で確認することは必要だ。

 貧血は生活習慣病ではない。だが、貧血を放置することは、生活習慣病の予防をしないのと同じくらい危険なことだと、わかってほしい。

引用元:
高い山頂でデスクワークしているよう…月経に伴う貧血 放置すると心臓に負担も(ヨミドクター)