間もなく本格的な夏だ。乳幼児が夏にかかりやすいといわれるのが、夏風邪の代表「ヘルパンギーナ」と手足などに水疱(すいほう)ができる「手足口病」、高熱が続く咽頭結膜熱、いわゆる「プール熱」の三つ。それぞれの症状や対処法を、感染症に詳しい小児科医に聞いた。

 子どもの感染症に詳しい愛知県碧南市の永井小児クリニック院長、永井秀さん(68)によると、三つとも原因はウイルス。インフルエンザのように予防のためのワクチンがないため、感染しないよう日頃から気をつけることが必要だ。

 手足口病は、その名の通り、手や足の両面、膝頭や裏、口の中に赤くポツポツと水疱ができるのが特徴。「乾燥などによる湿疹と違い、一つずつが赤く盛り上がっていたり、水膨れのようになっていたりする」。エンテロウイルスによって引き起こされ、患者は四歳以下に多い。熱が出ることは少ない。水疱の数が少ないと、虫刺されと勘違いしてしまう恐れもあるので要注意だ。感染してしまった場合、口の中の水疱がつぶれると痛みが強く、水や食事を取れなくなることも。症状が出ている間は脱水にも気をつけたい。

 ヘルパンギーナも、手足口病と同じエンテロウイルスによる感染症だ。三八〜四〇度の高熱とのどの痛みが主な症状で、三日ほどで治まる。かかりやすいのは五歳ごろまでで、多いのは一歳以下。年齢が低いほど高熱が出やすく、痛みを伴う水疱が口内にできるなどする。永井さんは「手足口病とヘルパンギーナは、一シーズンに何度もかかることがある」と怖さを指摘。まれに髄膜炎など中枢神経系の合併症を引き起こすこともあり、海外では死亡例も見られるという。

 プール熱の原因はアデノウイルスだ。五歳以下に多く、三九〜四〇度の高熱が四、五日間続く。のどの痛みのほか目の充血も特徴的な症状の一つだ。ただ、高熱があってもぐったりすることは少なく、元気に動ける場合が多い。

 三つの感染症はいずれもせきやくしゃみのしぶき、よだれのついた手で触るといった接触が感染源に。永井さんは「ウイルス自体をたたく薬はなく、発熱などの症状を抑える対症療法をしながら、安静にして体力の回復を待つしかない」と話す。

 予防に役立つのは、手洗いだ。外からウイルスを持ち込まないよう、家に帰った時、食事の前など、定期的にせっけんで手を洗うことが大事。きょうだいや親子でタオルの使い回しをしないことも心掛けたい。感染した後、症状が治まっても、二〜四週間はウイルスが生き残り、便にまじって排せつされるため、トイレの後やおむつを替えた後の手洗いを、親子で徹底することが必要だ。

 国立感染症研究所(感染研)によると、今年は五月上旬から手足口病とヘルパンギーナの患者数が九州地方を中心に増えている。感染研が二日に発表したまとめでは、特に手足口病の患者の増加が著しく、過去十年間で最多のペース。全国約三千の小児科医療機関から六月二十三日までの一週間に報告された患者数は、一機関当たり五・一八人。大流行した二〇一一年や一五年の同時期を上回る。

 「保育園や幼稚園で集団生活をしていると、感染を完全に防ぐのは難しい」と永井さん。「流行する前から手洗いを習慣づけてほしい」と話している。

引用元:
乳幼児の夏の感染症に注意 ヘルパンギーナ・手足口病・プール熱(中日新聞)