マウスの子宮内で胎仔の脳に遺伝子治療ベクターを入れることにより、致命的な早発型神経変性疾患を防げることを明らかにした論文が、今週掲載される。
ゴーシェ病は遺伝性の疾患で、肝臓や脾臓の腫張、骨の脆弱化、骨痛、貧血、疲労、皮下出血といった症状が見られる。これらの症状は、正常なら分解されるはずの脂質が蓄積するために生じる。軽症型のゴーシェ病では、こうした症状は出生後の酵素補充療法で治療できるが、早期に不可逆的な神経変性が生じるより重症型のゴーシェ病は今のところ治療不可能で、死に至ることも多い。このような予後を考えると、治療はできるだけ早く開始する必要がある。
Simon Waddingtonたちは、ゴーシェ病で欠失している酵素をコードする遺伝子を広範に発現するよう改変したウイルスベクターを、胎仔マウスの中枢神経系に外科的に導入した。子宮内でこのベクター治療を受けたマウスは、未治療のマウスよりも脳の変性の程度が軽く、生存期間もかなり長くなった。臨床応用に向けた一歩として、Waddingtonたちは、同様の遺伝子導入ウイルスベクターを非ヒト霊長類のより大きな脳へと子宮内で送り込めるよう、超音波を用いて導入する方法も開発した。
導入したベクターが、標的動物、特に非ヒト霊長類のより大きな中枢神経系で、一生の間にどの程度発現し続けるかを特定するには、さらに研究が必要である。また、このような遺伝子治療の方法には、出生前の病気を早期に正確に診断することが不可欠だろう。
引用元:
出生前の遺伝子治療によって、致命的な神経変性疾患を予防(natureasia.com)