【妊孕性温存、情報共有や治療連携】
県内のがん診療連携拠点病院や産婦人科診療所など18施設が17日までに、40歳未満の小児・若年がん患者らの生殖医療充実に向け「県がん生殖医療ネットワーク(EON)」を立ち上げた。患者の子どもをつくる能力「妊孕(にんよう)性」の温存に関する情報提供や的確な治療、未受精卵子・精子や受精卵の凍結保存、がん治療後の妊娠サポートなどで連携する。
EON事務局の愛媛大医学部附属病院(東温市)産婦人科によると、治療技術の進歩でがん患者の生存率が高まる一方、抗がん剤や放射線治療などで妊孕性を失う患者が少なくないため、将来を考えた医療体系整備が急務となっている。
県内では中予の四国がんセンター、県立中央病院、医学部附属病院を中心に病院や医師のつながりで妊孕性温存に取り組んできたが、病院や医師によって提供する情報や医療に差が出ないよう、日本癌(がん)治療学会策定のガイドラインに沿って診療する。
EONには、県がん診療連携拠点病院の四国がんセンターのほか、東中南予の地域がん診療連携拠点病院とがん診療連携推進病院の計14病院が参加。生殖医療施設としては松山市の民間3診療所が協力する。
がん診療施設は患者に妊孕性温存に関する情報を早期提供し、カウンセリングの希望があれば、医学部附属病院につなぐ。カウンセリング結果は、治療に当たるがん診療施設や受精卵の凍結保存などを担う生殖医療施設と共有し、スムーズな妊孕性温存と迅速ながん治療を目指す。
EON代表を務める愛媛大大学院医学系研究科の杉山隆教授(56)=産婦人科学=の試算では、がんを経験した全国の小児・若年サバイバーが1年間に男性約5500人、女性約1万1千人のペースで増加。県内では男性約50人、女性約100人のペースで増えていると推定している。
国内では2012年に日本がん・生殖医療学会が発足。愛媛では16年、県内の産婦人科医ら約50人でつくる「愛媛生殖医学研究会」がネットワークの必要性を協議し、EONの設立準備を進めていた。
今後は、インターネットの「がんサポートサイトえひめ」などでEONやがん生殖医療の周知を図る。医学部附属病院は15年3月から生殖医療の専門医不足で受精卵などの凍結保存を休止中だが、長期保存を見据え21年をめどに再開する予定。杉山教授は「患者がスムーズにがん生殖医療を受けられているかモニタリングし、ゆくゆくは患者が国の補助を受けられるようにしたい」と意気込んでいる。
【がん生殖医療】小児・若年がん患者らのがん治療を最優先にしつつ、配慮可能な場合は放射線や抗がん剤などの治療で損なわれる妊孕性を温存する。未受精卵子・精子、受精卵、卵巣の凍結保存のほか、卵巣をつり上げて放射線照射を極力避ける方法、一部切除で子宮や卵巣を残す方法などがある。
引用元:
若年がん患者の生殖医療充実へネットワーク設立(愛媛新聞)