ニュージーランドで怪しい新生児が誕生した。その子の名前は「ベビーX」。AIの天才といわれるオークランド大学のマーク・セイガー教授が、1歳半になる我が子をモデルに3Dベビーを作ってみせた。


■人間の精神活動をモデリングして“AI新生児”が誕生

 バラ色の頬にブロンドヘア。AIだと言われなければ気付けないくらい、気持ち悪いほど上質な出来栄えだ。つぶらな瞳、まつ毛の質感……。うっかり、本物の赤子とビデオ通話でやり取りしているような錯覚すら起こしそうになる。


 さて、パソコン画面の前で彼女に絵を見せ「これは何かな?」と尋ねてみる。教授が家で娘に言葉を教えているのと同じ様子だ。すると、ベビーX内のプログラミングが自動発動し、彼女は少し考えてから「羊」などとご名答してみせる。

 褒めてあげると彼女は少しはにかみながら喜ぶ。その都度、人間の幼児らしい表情や発音を用いながら……。何度も言うが、これは全てサガー教授が人間と機械をよく研究し、人間を内部からモデリングし続け、機械にプログラミングした結果である。


 話す時の顔の筋肉の動き、言葉、脳回路はどんどんベビーXの中に情報としてストックされ、それらをもとにAIが適切な反応を自動検出し、ベビーXに体現させる。この状況は、何だか実際の赤子が周囲との接触により成長し、自我をもって行動を決めているのと似ていないだろうか?

 さて、動作のストックを多くため込んだベビーXに、教授は更なる夢を見る。それは彼女に「ピアノを弾かせること」だ。やり方はこうだ。ソフトウェアを使い、ベビーXの前に一枚の仮想ガラスを置く。そのガラスの中に、デザインツールの「Sketch」を使って鍵盤のデザインをレイアウト。実際に鍵盤を目の前に置かれた彼女は、ほとんどの子どもと同様に適当に鍵盤を触り、当然ながら音が出たので、人間と同じく少し驚いた反応を示すなどした。


 一連の動作は「この鍵盤を触るとこの音が出る、すると脳にこれくらいのドーパミンが出て、驚いた反応をする」という相関関係として、ベビーXの中にプログラミングされる。そして、ベビーXはこうしたプログラムを、その都度自動ストックする。まさにAIの特性をうまく使った情報処理、情報送出だが、この繰り返しを行うことは何かに似ていないだろうか?

 そう、教授の言う通り「感性の体得と表現」だ。感性のひだが増えてストックされれば、それは音感や情感の発達につながり、その状態でピアノを教えたら、本当にピアノが弾ける日が来るかもしれない。教授の研究はそんな可能性すら示している。

■西洋人ならではの“擬人化”嗜好か?

 AIベビーの技術向上を目指し、サガー教授はさまざまな幼児表現を映像収録した。多くのストックを保管するためだ。次にベビーXを作る時はこれらの動きを新たに組み込みたいのだ。

 何がそこまで教授を突き動かすのか? 彼はエンジニアであるが、映画産業界での勤務経歴を持つ。映画業務を通じて、スクリーンの中にいる「仮想の人」を作出したいと願うようになった。そして、ついに彼はその野望をかなえるために映画会社を退職し、大学の研究室に戻った。


 それからは「そっくりさん作り」にいそしむ毎日だ。脳回路の構造や人のリアクションを勉強し、日夜「人間と機械の同期化」を追究する。その研究成果の一つが、彼が愛してやまない愛娘の「そっくりさん」、前出のベビーXの誕生である。

 しかし、誰もが彼の研究に賛同しているわけではなく、「西洋人ならではの擬人化嗜好」と揶揄する研究者もいる。「そんなものにウットリしてどうするのか?」と。

 技術の追求は悪いことではない。しかし、パフォーミングアーツは、やはり表現者自身が生身の人間だからこそ感動を呼ぶ。人の心に響くのは、表現者が人だからではなかろうか?


引用元:
AIの天才マーク・セイガー教授が“精神的に成長する”AI新生児「ベビーX」を爆誕! キモ可愛すぎる完成度に戦慄、 現在成長中!(TOCANA)