乳幼児や子供、妊婦は、災害時の避難行動に支援や保護が必要な「災害弱者」とされる。だが、大規模災害では、行政による「公助」がすぐに届かない状況が予想され、自分の身を自分で守る「自助」や、地域で助け合う「共助」が重要となる。妊婦や子育て中の親たちが抱える不安や、地域の支援グループの取り組みを取材した。


 和歌山市のNPOが運営する子育て支援拠点「ドレミひろば」(同市田尻)で先月、セミナー「災害の教訓から学び・考える」があり、乳幼児を連れた母親ら約30人が参加した。2000年の鳥取県西部地震後、震災復興に取り組んできた同県のボランティア団体の男性が講師を務めた。

 講師が「災害時の避難場所を知っていますか」と問いかけると、手を挙げたのは参加者の半分ほどだった。母親らは「転勤族で賃貸マンション暮らし。近所づきあいが少なく、『ご近所で助け合って』と言われても難しい」などと、普段感じている不安を訴えた。

 これに対し、講師は「近所が難しければ、子育て支援施設などで同じ世代やママ同士で関係作りをすることも大切」「(妊婦健診を受けている病院が分娩(ぶんべん)できない施設の場合は)出産可能な病院を把握しておくことも大事」などとアドバイスした。

 新宮市では、子育て世代などの支援活動に取り組む5団体の代表者が、子育て世代への防災啓発を目的に「乳幼児の命を守る会」を発足させた。2011年9月の紀伊半島豪雨災害の際、乳児を持つ母親から、「粉ミルクを作るための水がない」という声が多数上がり、ペットボトル入りの水を配って回ったことがきっかけだった。

 同会は、当時の経験から、子育て世代に物資の備蓄を訴えるチラシを作成。避難者の体験を基に、「生理用ナプキンも紙おむつ代わりに使える」「おやつや小さなおもちゃも必要」などの「知恵」も盛り込んだ。勢古啓子委員長は「避難所で子供が普段通り過ごせる工夫が必要。3〜4カ月に一度は備蓄品の確認と補充をしてほしい」と呼び掛けている。【成田有佳】


 ○…取材後記…○

避難長期化の準備も

 「乳幼児の命を守る会」のメンバーに、子育て中の家庭と行政とをつなぐ母子保健推進員を務める女性がいる。この女性によると、紀伊半島豪雨災害の際はまず水、次に寒さと汚れのため子供服の着替え、被災した自宅の片付けが始まれば託児施設と、子育て世代の被災者の要望には時間の経過とともに変化があったという。

 災害は突然やって来る。特に子育て中などで災害弱者となる可能性があれば、何を持って避難するか、避難が長期化した時どうすべきかについて、事前に想定し、準備することが必要だと感じた。転勤族である私自身もまず、日ごろ遊びに行っている子育て支援施設で、「地震や津波があったらどうすればいいか」と話題にしてみよう。



引用元:
わかやま子育て事情 災害時の乳幼児や妊婦 「自助」と「共助」が重要 /和歌山(毎日新聞)