東日本大震災、昨年9月の宮城豪雨と二つの災害を乗り越えた仙台市泉区野村の「とも子助産院」が、母親や子どもたちで連日、にぎわっている。被災した建物の改修には、かつて助産院で出産した母親らが協力。院長の伊藤朋子さん(50)は「助産師の仕事を続けることで地域の母と子に恩返ししたい」と話す。
東日本大震災で助産院は半壊。ライフラインが絶たれた状況で伊藤さんは、妊産婦の支援を続けた。
昨年の豪雨では、七北田川近くの低地のため1階が約70センチ浸水した。親子が交流できる場をつくりたいと1カ月前に増築したばかりのサロンやキッチンも、泥だらけになってしまった。2度目の被災を伊藤さんは「逃げ出したい気持ちになった」と振り返る。
ところが雨がやむと、お産で世話になった女性や、実習で訪れていた学生ら約100人が助産院に駆け付けていた。車や扇風機など支援物資が続々到着。伊藤さんは「助産師の腕と心意気は流されていないよ」としたためたメッセージを建物に掲げ、再起を誓った。
診療は継続できたが、建物は改修が必要だった。インターネットで小口出資を募るクラウドファンディングを始めると、医師や見ず知らずの人からも寄付があり、修繕に必要な550万円が集まった。「震災でお世話になった」「大切な場所を守りたい」といった声援も数多く寄せられた。
春に改修を終え本格再開を果たしたサロンでは今月上旬、親子約10組が羊毛を使った小物作りを楽しんでいた。授乳しながら手を動かす母親と傍らでお絵描きに夢中の子どももいた。
出産を間近に控えた女性(37)は「お母さんたちとおしゃべりして情報交換できるのがいい」とすっかりサロンの常連になった。
伊藤さんは「皆の協力のおかげで仕事が続けられる。しっかり応えていきたい」と抱負を語った。
引用元:
震災と豪雨で被災の助産院 母親ら再起後押し(河北新報)