赤ちゃんが最初に発声するのは生後2カ月ころ、言葉を話し始めるのは、ほぼ1歳のころだ。この10カ月ほどの間に、赤ちゃんの脳は、言葉の機能、発声の仕組みなど、心と体のネットワークづくりを急いでいる。
赤ちゃんは、どんな風に言葉を覚えるのだろう? お母さんからの語りかけ、お父さんとお母さんの会話、周囲の人の話し声、テレビなどの音声……。赤ちゃんの周りは、さまざまな言葉が満ちあふれている。だが、赤ちゃんは言葉を話すまでに時間がかかる。なぜだろう?
赤ちゃんは話したくても話せない?
その答えの一つは、喉の構造だ。大人と赤ちゃんでは、口腔内や喉の構造が異なる。大人は、口腔の奥の空間が発達しているため、声帯から生じた空気の振動を共鳴させることができる。しかも、音声をつくる筋肉、粘膜、舌、唇の筋肉も十分に発達している。
一方、赤ちゃんは、舌や顎の筋肉、粘膜の発達が未熟なので、音声の微妙な調整ができない。さらに鼻腔と口腔の境目にある軟口蓋(のどちんこ)が喉の奥に落ち込んでいるため、声帯から生じた空気の振動を十分に共鳴させることができない。このように、生後間もない赤ちゃんは、声帯、喉、粘膜、舌、唇などの筋肉が未発達なことから、言葉を音声化するのが遅れるのだ。
生後2カ月ころ、赤ちゃんは「クークー」「アーアー」まどの声を発するようになる。これをクーイングと言う。「クークー」「アーアー」にお母さんが応えると、赤ちゃんは返事を期待して「クークー」「アーアー」を繰り返すようになる
4カ月ころになると、ニッコリと微笑んだり、声を出さずに笑っていた赤ちゃんは、「アハハ」「キャハハ」と笑い始める。喉が発達してきた兆しだ。
6カ月ころになると、破裂音のパ音や濁音のダ音がスムーズに出る。「パー」「ダダダダダダ」……大人には無意味な音に聞こえるが、赤ちゃんの重要な発声練習だ。この時期の言葉を「喃語(なんご)」と言う。
10カ月ころになれば、自分が興味のあるモノを指さしして「アーアプー」「ンダッババッ」などとかなり発声がはっきりしてくるので、お母さんとのコミュニケーションがとりやすくなる。たとえば、赤ちゃんが指さししたモノを、「あれはクマさんですよ」と答えれば、赤ちゃんはモノと言葉の関係を理解し、深めていくことができるようになる。
赤ちゃんは、話すよりも早く、意味を理解している
1歳ころになると、赤ちゃんは、身の回りのモノを指さしして「アッアー!」などと声を上げる。身の回りのモノや言葉の意味を理解して、自分なりに話そうと頑張っているのだ。
このころは、指さす方を必ず見たり、「ちょうだい」と言われると持っているモノを渡したり、名前を呼ばれるとすぐに反応したりするので、お母さんの言いたいことをかなり正確につかんでいることが分かる。
つまり、赤ちゃんは、話す能力よりも意味を理解する能力のほうが発達が早い。喉の筋肉の発達や運動機能が整えば、赤ちゃんの言葉は自然と生まれてくるのだ。
引用元:
話したくても話せない!? 赤ちゃんは「話す」よりも早く「意味」を理解している(ヘルスプレス)