私たちが普段ドラッグストアで購入したり、医療機関で処方されるお薬。その製造ラインではどのような努力がなされているのでしょうか?少し覗いてみましょう。
大前提として
まず最初に…@微粒子と、A細菌やウイルスは扱いが別です。この2つは環境測定方法が異なります。
医薬品の製造ラインでは、「製品を無菌化する」ことが最大の目的です。そのためには医薬品製造の作業エリアである『クリーンルーム』を常に清潔に保つことは、最低限の条件です。
日ごろの空調管理・清掃消毒を行って、クリーンルームの”微粒子”レベルをモニタリングし、一定の微粒子レベル以下になるとアラームを発するシステムなどが導入されており、無人環境においては無菌状態が破られることは ほぼあり得ません。
しかし、製造ラインには必ず『人』が介在しなければなりません。
そうすると…無菌エリアで誰かがティッシュで鼻をかんだとしましょう。それだけでも、空気中の微粒子、細菌(大腸菌など)、ウイルスレベルの急上昇が見られる場合があります。すべての微粒子・細菌・ウイルスレベルの上昇はヒトの介在で引き起こされるものなのです。
クリーンルームに入る前に、作業員がやるべきこと
手をアルコール消毒する
ガンマ線(放射線の一種で、かなり強いエネルギーを放射して対象物を照射してくれる)で滅菌されたマスクを着用する
UV照射済みのゴーグルを着用する
”オートクレーブ”(病院などでも使用されているもので、蒸気で滅菌する機械)で滅菌された無菌服を着用する
作業工程別、微粒子レベルのクラス分け
そうしたヒト由来の有害物質が製品に混入することを防ぐため、クリーンルームは”微粒子レベル”によって4つにクラス分け(清浄度の区分分け)されています。
”ヘパフィルター”というフィルターを使って微粒子レベルを空調管理していることが多いです。
クラス100…1フィート立方中に0.5ミクロン以上の微粒子が100個以下の場所。
ここが最高レベルの無菌作業エリアで、おもに大規模な機械を使った製品の充填のオペレーションが行われます。
クラス1000…1フィート立方中に0.5ミクロン以上の微粒子が1000個以下の場所。充填作業は行われないことが多い。
このエリアから、クラス100エリアで行われるオペレーションを監視することもあります(もちろん扉で区分けされています)。
このエリアまでは、必ずガンマ線滅菌されたマスク、UV照射を受けたゴーグル、オートクレーブ滅菌された無菌服着用必須です。
クラス10,000…1フィート立方中に0.5ミクロン以上の微粒子が10000個以下の場所。”無菌”でなく”無塵”エリアと呼ばれる場合もあります。
ここでは、原材料の仕込みや、器具や無菌服のオートクレーブ滅菌が行われます。マスクや手袋着用は必要ですが、必ずしも滅菌したものでなくても大丈夫。
クラス100000…1フィート立方中に0.5ミクロン以上の微粒子が100000個以下の場所。ここでは、完成した製品の包装作業などが機械や人力で行われます。
最低レベルの無塵状態なので、製品に触れる際以外はマスクも手袋も必要ありません。ただ、最低レベルとは言え、道端や自宅、普通のオフィス等と比べると無菌レベルは格段に高いです。
問題は、「細菌」や「ウイルス」の混入!
上記のクリーンルームは、基本的に微粒子レベルを管理する部屋ですので、細菌やウイルスの侵入に関しては、機械でのモニタリングなど、リアルタイム監視システムがありません。
それを検知するには、完成した製品のサンプルを使った培地による細菌測定を行い、数日後に判明する運びとなります。
「培地」とは、寒天などを使って、細菌やウイルスに生育環境を提供して細菌やウイルスの存在を判定する試験で、おもに液体培地と個体培地があります。
ちなみに、クラス100における完全無人製造ライン(ヒトを介在させないオペレーション)の実現が可能になれば、ほぼ100%の確率で無菌レベルが保証されますので、現在多くの企業で、高レベル無菌エリアにおける完全ロボット化が目指されています。
【参照】
放射線利用の現状と今後のあり方(PDF・改訂版/平成24年5月29日 内閣府 原子力政策担当室)
クリーンルームQ&A-クリーンルームなび
引用元:
「医薬品の製造ラインについて」少し知ってみよう!【imedi】