■進まぬ理解 妊娠中でも「あえて使わない」
おなかに赤ちゃんがいることを示す「マタニティーマーク」を厚生労働省が発表して、今年で10年目。妊娠中はおなかの目立たない初期でも体調が不安定になりやすいため、マークを身につけることで周囲にさりげなく妊娠を知らせ、理解や配慮を求めるというものです。具体的には、電車やバスで席を譲る、受動喫煙を防ぐ、倒れた時に適切な処置を受けられるようにする、といった対応が想定されています。
マークができる以前は、「妊婦さんかと思って席を譲ったら、ただのぽっちゃり体形だったらしく、相手を怒らせてしまった」といった失敗談を耳にすることも。マークを作ることでそうした善意を後押しするとともに、妊婦さんが安心して外出できる環境づくりが進むことが期待されます。
ところがこのマーク、最近はあえて身につけないようにしたり、使う時もなるべく目立たないサイズのものにしたりする妊婦さんも多いのだそうです。その背景には、「『席を譲れ』と圧力をかけているようで気が引ける」「子どもがいない人や不妊治療中の人が見たらつらい思いをするから」との遠慮や、「マークをつけていると嫌がらせに遭う」という情報がインターネットで広がっていることなどがあるといいます。
周囲が妊婦に配慮しやすいよう作られたはずが、逆に妊婦が周囲に配慮をする状況になってしまっているマタニティーマーク。母体や胎児を守るという本来の目的がうまく伝わらず、「席譲れマーク」や「幸せ自慢マーク」だという誤解や反感を招いている面があるようです。
引用元:
マタニティーマークは何のため?(朝日新聞)