特定不妊治療費助成制度の改定
平成28年4月1日から、厚生労働省で定める「不妊に悩む方への特定治療支援事業」の対象範囲が変わります。特定治療支援事業とは、体外受精・顕微授精などの特定不妊治療費に対して助成金が受けられる制度です。現行制度では、不妊治療を受ける妻の年齢制限はなく、1回の治療につき15万円もしくは7万5000円を上限に助成を受けられます(上限は、その都度、医師の指示による治療区分により決定)。助成を受けられる回数は通算5年で10回までです(都道府県によって上乗せしている場合あり)。
平成28年度からの新制度では、助成金額の変更はないものの、対象年齢が43歳未満になります。また、初めて助成を受ける際の治療開始時の妻の年齢が39歳までは通算6回、40歳から42歳までは通算3回に変更となります。このため43歳以上の方や、現行制度から治療を継続されていて、既に6回もしくは3回の助成金を受けている方は、平成28年度以降の助成対象から外れることになるのです。
しかし、高額の自己負担に対してお金が戻ってくる制度は助成金だけではありません。特定不妊治療は所得税において医療費控除の対象となるため、確定申告をすることで税金の還付を受けられる可能性があるのです。
医療費控除とは
医療費控除とは、1年間に負担した医療費に応じて、所得税を少なくしてくれる制度です。本人や一定の要件を満たす家族のために1年間に負担した医療費が10万円以上(注1)であれば、確定申告によって適用を受けることができ、高額の医療費がかかった場合に税金の負担を軽くしてくれます。
給与所得者にとって確定申告は馴染みの薄いものですが、医療費控除は年末調整では行えないため、各自で申告する必要があります。
医療費控除の計算例
では実際に不妊治療に支払った医療費を例に、医療費控除の計算をしてみましょう。
医療費控除額の計算式は、
[「実際に支払った医療費の合計額」−「保険金や高額療養費など補填金」−10万円]です。
不妊治療で1回30万円の体外受精を1年で2回行った例で考えてみましょう。不妊治療以外にも同居の家族が医療機関に支払った5万円があり、1年間の医療費合計が65万円だったとします。都道府県や市区町村から助成金を受けた場合はその金額を差し引く必要がありますが、ここでは助成が受けられなかったとします。この場合、
[65万円−0円−10万円=55万円]
を、医療費控除額として所得から引くことができ、その分だけ税金計算の元となる課税所得が少なくなります。
仮に、医療費控除を受ける前の課税所得額が300万円とします。所得税率は、課税所得金額に応じて段階的に決まっており、195万円を超えて330万円以下の部分は10%で計算されます(注2)。つまり、医療費控除で差し引いた55万円に10%をかけると戻ってくる税金が計算できるわけです。このケースでは、55万円×10%=5万5000円が戻ってくる税金となります。なお医療費控除には、病院までの交通費も含めることができます。不妊治療専門の病院に行くために遠方に通われることも多いでしょう。医療費控除の対象となる金額も大きくなるので、忘れないようにして下さい。
医療費控除を知らなかった方、もしくは不妊治療が医療費控除の対象になることを知らなかった方でも、1年間の医療費が10万円を超えていれば、過去5年までさかのぼって申告をすることができます。これを機会に、過去の申告漏れがないかどうかも確認しておきましょう。
引用元:
意外と知らない不妊治療に伴う医療費控除(nikkei BPnet)