アムステルダム自由大学医療センター(VUmc)の研究グループが、妊娠中に、甲状腺ホルモンの一種「チロキシン」の血中濃度が低いと、算数の不得意な子どもが生まれる確率が2倍になるという報告を行った。
しかし、母親が、妊娠中や授乳中にサプリメントなどで積極的にチロキシンを摂取することで、子どもの脳の発達が促され、成績も良くなるかもしれないという。
妊娠中のホルモンレベルが、生まれた子の成績にまで影響
妊娠している母親のチロキシンの血中濃度が低い値であった場合、生まれてきた子どもにどのような影響を与えるのか。それを調べるため、VUmcの研究グループは、妊娠12週目の母親1196名の血液中のチロキシン濃度を測定。その後、追跡調査を行い、生まれた子どもが5歳になったときに言語と算数のテストを実施した。
その結果、妊娠中にチロキシンが低値だった母親から生まれた子どもは、算数の点数が低かった。その数は、そうでない母親から生まれた子どもに比べて約2倍で、そのうち約60%が平均点以下の点数であったという。
チロキシンは子どもの脳の発達に関わる
チロキシンは、体中のほとんどの組織にはたらきかけるホルモンで、各組織でのエネルギー利用を促進させる。細胞のはたらきを活発にして、細胞分裂を盛んに起こさせることによって、体の成長や変化を促すのである。したがって、胎児の脳や体の分化、成長は、母親のチロキシンによって促されるのである。
動物では、オタマジャクシがカエルになるといった両生類の変態や、サケが川から海へ下るときの海水適応などに関わっている。
最強の胎教? 妊娠・授乳中のサプリメントで成績アップ
妊娠中や授乳中に、母親が、チロキシンの材料であるヨウ素を含むサプリメントをとれば、胎児や乳児の脳の発達が促され、知能指数(IQ)を向上させる可能性があるという。
研究チームが見積もったところ、IQは平均1.22ポイント向上するということだ。まさに、最強の胎教と言っても過言ではないかもしれない。将来的には、妊娠中に血液中のチロキシン濃度を計ることで、サポートが必要となる子どもを特定できる可能性もあるという。
さらに、子どもの知能指数向上によって経済効果があるとする推計や、母親のサプリメント摂取による医療費軽減なども考えられるというから驚きだ。
現在、「妊娠中にとるべき栄養素」としてヨウ素は含まれていないが、本研究が行われたイギリスでは摂取を推奨する専門家もいる。
日本人妊婦さんはヨウ素のとり過ぎに注意!
しかし、胎教のためといえども、特に日本人の摂取には注意が必要だということをひとつ付け加えておきたい。
ヨウ素は、昆布やわかめ、魚などの海藻や魚介類に多く含まれるため、一般的な日本人の食事内容では不足することはないとされている。ヨウ素の過剰摂取は、胎児の甲状腺機能低下症などの害を及ぼしかねないので、日本では、妊娠中はわかめ、昆布のとり過ぎに注意というかたちで、ヨウ素の過剰摂取に対して注意喚起されている。
研究グループのリーダーMartijn Finken教授は、妊娠中の母親のチロキシンレベルが、子どもに、より長期間に渡ってどのような影響を与えるかを調べるため、今後も追跡調査を続けていくと語っている。
参考:Mail Online http://www.dailymail.co.uk/health/article-3212860/Bad-maths-Blame-mother-Pregnant-women-low-levels-certain-hormone-twice-likely-numerically-challenged-children.html
引用元:
最強の胎教!? 妊娠中に子どもの成績を良くする栄養素「チロキシン」(CIRCL)