元プロレスラーのタレント北斗晶さん(48)が乳がんを公表したことを機に、乳がんへの関心が高まっている。県放射線技師会によると、各地の病院で相談が増えているという。経験者や医師は定期検診と自己検診の必要性を訴えている。
■「後悔させたくない」 経験者、検診の大切さ訴える 乳がん経験者の会「あけぼの静岡」代表の星野希代絵さん(59)がテレビをつけると、北斗さんが涙ぐみつつインタビューを受けていた。「動揺を隠せない気持ちがとても分かる」と画面を見つめた。
38歳の時、胸に小豆ぐらいのしこりを感じ、病院に行った。診断は「乳腺線維腺腫」。良性の腫瘍(しゅよう)だ。医師から「40歳になったら、また受診してください」と告げられた。
だが、良性と言われて安心し、忙しさから受診を後回しにした。新たなしこりに気づいたが、「良性に違いない」と自分に言い聞かせた。
しかし、しこりはどんどん大きくなった。診断は「乳がん」。43歳だった。告知直後は耳鳴りを感じ、医師の説明が頭に入らなかった。がん摘出と乳房再建の手術を同時に受け、12時間にも及んだ。腫瘍は縦8・5センチ横5センチ。リンパ節への転移も16カ所あった。
退院後は再発や今後の治療で不安が募った。抗がん剤の副作用で髪の毛が抜け、家に引きこもった。そんな時、病院で「あなたは一人じゃない」というポスターが目に入った。会の前身「あけぼの会静岡支部」のものだった。
初めて会を訪れると、手招きで迎えられた。「がんとどう向き合うべきか、目の前に生きた見本がたくさんいた」。会に入り、患者の精神的な支援とともに、自己検診や定期検診の大切さを呼びかけてきた。
乳がんは40〜50代で見つかることが多い。家事や育児、仕事に忙しい時期で、自分のことは後回しになりがちだ。「でも、検診を怠った後悔をほかの人にさせたくない」。その気持ちで活動を続けている。
■「小さいうち発見を」 専門家、検診のポイント語る 県放射線技師会理事の市川和秀さんによると、勤め先の富士市の共立蒲原総合病院では、10月に乳がんについて語る北斗さんがテレビで放送された翌日から検診予約の電話が鳴りやまない状況が続いたという。
「県内各地の病院も同様で、病院によっては1カ月待ちをお願いするところもあったようだ」と市川さん。胸に違和感があったために「テレビを見て心配になった」として、外来受診する女性も増えているという。
10月31日にあった県放射線技師会による乳がんの講演会では、「聖隷健康サポートセンターShizuoka」(静岡市駿河区)の鈴木美香所長が北斗さんのケースも話題にした。
北斗さんは毎年がん検診を受けていたのに、発見できなかったと明らかにした。そのことで不安を持つ女性も相談に訪れるという。鈴木所長は「検診ですべての乳がんを見つけられないのは確か。でも乳がんが小さいうちに見つかれば90%は治る」と訴えた。
鈴木所長は検診や診察を受ける上でのポイントを挙げた。
月1回の自己検診で自覚症状がある場合は乳腺外科の受診を勧める。乳腺専門医は、日本乳癌学会(http://www.jbcs.gr.jp/)のホームページで確認できる。
国は40歳以上の女性に2年に1度マンモグラフィー(乳房X線撮影)による検診を受けるよう勧めている。どの頻度でどの検査を受ければよいかは、乳腺の状態や乳がんの家族歴などにもよるので、医師に相談するよう呼びかけた。
乳がん検診の助成は、自治体や所属する健康保険組合ごとに対象年齢、助成額が異なる。鈴木所長は「健康保険証を手元において、検診施設で確認するのも一つの手段。負担が少なく受診できる方法を教えてくれるでしょう」と紹介した。
引用元:
乳がん、北斗晶さんの公表がきっかけで相談急増(朝日新聞)