赤ちゃんの体重などをパソコンやスマートフォンから入力して記録する、電子版の母子手帳の利用が広がっている。

 体重の変化をグラフにしたり、予防接種の時期を知らせたりする機能もあり、スマホを使い慣れた親には便利だ。記録をなくす心配が少ないのも心強い。


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 母子手帳は「母子健康手帳」の通称で、母子保健法により、妊娠を届け出た女性に自治体が交付することが義務づけられている。電子版は法律に基づくものではなく、一部の自治体や企業がサービスとして提供している。紙の母子手帳の代替版ではない。一部の機能を除き、無料で誰でも利用できる。

 千葉県柏市は今年4月、インターネットによる「電子母子手帳」のサービスを始めた。実証実験中の現在は約360人が利用する。

 妊娠中の体重記録や子どもの成長記録のほか、育児の情報配信、予防接種の通知などの機能がある。市民であれば、もく浴の方法などを紹介する動画も閲覧できる。

 データは市側がサーバーに保管しており、利用者がスマホを紛失してもデータ自体は消えない。実名でなくニックネームで利用できる。ニックネームと子どもの体重などのデータは暗号化した上で別々の場所に保管しており、どちらかが流出しても誰のデータかわからないようにするなど、情報管理にも気を配る。

 7月に次男を出産した東京都内の主婦(31)は、NTT東日本関東病院のアプリ「妊婦手帳」を出産前から利用。「体重を入力するとグラフができるし、信頼できる情報が届くから本当に便利」と話した。

 電子版母子手帳が注目されるきっかけは、東日本大震災で母子手帳をなくすケースが相次いだことだ。

 岩手県には、県内の医療機関や市町村が妊婦の健診結果などを共有するネットワークシステムがある。母子手帳をなくした母親に、自治体がデータを引き出して再発行できたことで、健診結果を電子データで保管すると便利だとの考えが広がった。

 ただ、電子版には標準的な書式や各サービスの互換性はない。日本産婦人科医会などは委員会を作り、標準書式作成を進めている。


千葉県柏市の電子母子手帳では、市民向けに「もく浴の方法」などの動画がある 委員の一人で母子愛育会総合母子保健センター所長の中林正雄さんは、「出生時の体重や接種済みの予防接種の種類などは、成長した後の健康管理にも必要だ。紙の手帳に加え電子データでも保管しておけば、医者にかかるときなどにいつでもデータを使える」と話している。(吉田尚大)

健康管理や治療の助け

 ◇母子手帳とは 太平洋戦争中の1942年に作られた「妊産婦手帳」が原型。妊娠の証明書代わりになり、配給が手厚くなった。65年に母子保健法が制定され、現在の形となった。

 子どもの体重、受けた予防接種の種類の記入欄といった基本的な様式は省令などで決まっている。自治体によっては、育児の注意点など独自の情報を盛り込んでいる。

 妊婦や乳幼児は急激に健康状態が悪化することがあるため、健康管理に役立つ。子どもが成長した後も、病気になった際、正常分娩(ぶんべん)だったかどうかや予防接種の有無などは治療の参考になる。



引用元:
「電子版母子手帳」広がる…「予防接種」を通知(読売新聞)