卵子提供など第三者がかかわる不妊治療で生まれた子どもの親子関係を規定する民法の特例法案を、自民党の法務部会と厚生労働部会の合同部会が5日、了承した。卵子提供や代理出産では産んだ女性を母親、精子提供では提供に同意した夫を父親と定める。党政務調査会などの議論を経て今国会への提出を目指す方針だが、他の重要法案の審議日程の関係で成立するかどうかは不透明だ。1898(明治31)年にできた現在の民法は、第三者がかかわる妊娠・出産を想定しておらず、治療を依頼した夫婦と第三者のいずれを法律上の親と認めるかの明文がない。法案は、不妊治療技術の進歩に伴って家族関係が複雑化する中、生まれた子の法的な立場を安定させることを目的とする。不妊治療に限定した規定になるため、民法の改正ではなく、議員立法による特例法案とした。
法案は、卵子提供や代理出産で妊娠・出産した際の母は出産した女性とする。夫の同意を得た妻が夫以外の男性の精子提供を受けて生まれた子については、夫が子の父であることを否認できないと定める。
親子関係については、1962年に最高裁が「産んだ女性が母」とする判決を出し、法務省法制審議会も2003年、不妊治療で生まれた子について「産んだ女性が母」とする中間試案を示した。07年には、最高裁がタレントの向井亜紀さんと、代理出産で生まれた双子との母子関係を認めない判断を示した。また、最高裁は13年、性同一性障害で女性から男性に性別変更した夫が、第三者の精子提供を受けて妻が出産した子を嫡出子(法律上の子)と認めた。今回の法案はこれらの判例や過去の議論に沿った内容となった。
一方、合同部会は、卵子提供や代理出産を認める条件を定める法案についても審議してきたが、意見集約できなかった。このため、今回の特例法案の中に、国会に審査会を設置して2年以内に結論を出すとする付則を盛り込んだ。【阿部周一】
引用元:
不妊治療:「産んだ女性が母親」自民部会が特例法案了承(毎日新聞)