ゆで鶏の緑酢あえ(左上)、ネギ豚鍋(右上)、サケの薩摩焼き(左下)、精進カレー(右下)



 夏休みの子どもの食事、どうしていますか? 子どもの好きなメニューばかりでは栄養が偏り、太るおそれがあります。ふだんと少し材料を変えて、カロリー控えめの料理を作りませんか。


■注意:1

 日本料理店料理長の野崎洋光さんは腰痛に悩んだ3年前、11キロの減量に成功した。肥満対策としてすすめるのが、料理の「かさ増し」だ。「おなかが満たされる食事でなければダイエットは長続きしません。野菜など低カロリーの食材を使い、たっぷり食べても太りにくい食事が作れます」

 たとえば、子どもの好きな料理ベスト3に入るカレー。野崎さんが考えた「精進カレー」は、肉の代わりにコンニャクを使い、ボリュームを保ったままカロリーを抑えている。トマトジュースと豆乳を加えることで、肉が入らなくてもうまみが出る。「トマトジュースや豆乳はだしになります。2倍に薄めればみそ汁のだし代わりにもなります」と野崎さん。食塩入りトマトジュースのほうがうまみが強いという。

 しょうゆとみりんを使う和風のルーも手作りだ。小麦粉を炒めて作るルーやソースは、水分を加える際にダマができて失敗することがあるが、フードプロセッサーを使えば簡単にできるという。ただ、カレーが低カロリーでも、ご飯が多ければ合計カロリーは当然高くなる。注意しよう。

 「トマトとニラの卵焼き」は野菜たっぷりで食べ応えがある。粉末状にした麩(ふ)を加えるのがひけつだ。粘り気が出て、具が多くてもまとまりやすい。野崎さんは「卵焼きというより、むしろ野菜の卵とじです。おいしく仕上げるには、火を通しすぎないようにして下さい」と説明する。

■注意:2

 「夏休み中に太る子どもが毎年、必ずいます」。福島県飯舘村立小学校の塩田咲江・養護教諭は心配する。エアコンが効いた屋内にいて体を動かさず、おやつを食べ過ぎるからだ。

 子どもの肥満は全国的に問題になっている。とりわけ福島県では、東京電力福島第一原発の事故後、屋外での活動を控えたことなどから深刻化している。肥満傾向の小学生(6〜11歳)の割合は、全国平均が4・3〜9・4%だが、同県は7・9〜15・1%。全村避難が続く飯舘村立小は、23%にのぼる。

 夏休み太りを防ぐにはどうしたらいいのか。この小学校の保護者向けに栄養指導のパンフレットを作製した、あづま脳神経外科病院(福島市)の管理栄養士、大内美登里さんは「夜更かししたり朝寝ぼうしたりすると、食事が朝昼兼用になるなど食生活も乱れ、栄養バランスがとりにくくなります。まずは生活リズムを崩さないよう心がけて下さい」と言う。

 塩田さんは小学校で、肥満傾向の子に個別指導する。夏休み前には「長期休業中がカギだよ」とアドバイスした。「野菜の多い食事をする」「ゆっくり食べる」「おやつの時間を決める」「甘い飲みものは飲みすぎない」などだ。

■記者も作ってみた

 野崎さんに教わった料理7種類を作ってみた。

 「精進カレー」は、市販のルーで作るより一手間かかったが、コンニャクがまったく違和感なく味わえた。和風のあっさりした味付けも夏向けだった。反省点は、ショウガとニンニクのみじん切りが大きすぎたこと。子どもには刺激が強すぎるかもしれないので、できるだけ細かく切ったほうがいいと思った。

 野崎さんの作った「ゆで鶏の緑酢あえ」を試食した時、鶏胸肉のしっとりしたおいしさに驚いた。自分で再現できるか心配だったが、レシピに忠実に作ったらちゃんと再現できました!これまで作った鶏胸肉料理で、最高の味。キュウリ2本分のすりおろしは疲れたが、そのかいがあった。ゆで汁と昆布は翌日、野菜スープに。コストパフォーマンスも良かった。

 難しかったのは「豆腐の小判焼き」。生地が柔らかいので、片面を焼いてから裏返す時に崩れてしまった。「ふわふわどんぶり」のオクラのみじん切りも、ツルツルすべって時間がかかった。「包丁でたたくだけでもいい」と野崎さん。

 失敗したのは「サケの薩摩焼き」。焼きのりの分量を生のりと勘違いして25グラム入れたら、のりだらけに。試食した同僚たちは無言で食べていた。正しい量で再チャレンジしたい。

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 レシピの栄養計算は、福島県新地町立駒ケ嶺小学校の小泉弘子・栄養教諭に依頼した。「カレーにコンニャク、卵焼きに麩、という発想が面白い。栄養的にも、家庭の食事で不足しがちな野菜がたっぷり使われているし、肉だけでなく魚や豆腐など様々な種類のたんぱく質が摂取できる点もいい」と評価する。

 小学校中学年の食事の目安は、1日約2千キロカロリー。緑黄色野菜は90グラム、ほかの野菜は200グラムとなる。「食塩は1食2・5グラムが目安。野崎さんのレシピより少し控えめにしてもいいかもしれない」

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 のざき・ひろみつ 1953年、福島県古殿町生まれ。東京グランドホテルや八芳園などを経て日本料理店「分とく山」(東京都・南麻布)の総料理長。著書に『おいしいかさ増しダイエットレシピ』『おいしい方程式』など多数。


引用元:
夏休みの肥満に注意 子どもへのオススメメニューは?(朝日新聞)