結婚してからもキャリアにまい進。出産を後回しにして、ふと気づけば世間的には高齢出産の年に突入した、というデュアラーの方もいるのではないでしょうか。新しく始まるこの連載では、30代後半から妊娠・出産を考える方に参考になる様々なアドバイスや情報をお届けしていきます。
第1回のテーマは「妊娠体質に導く食事」。栄養療法の専門家で、自らの不妊症も栄養療法で克服し、1人目は34歳、2人目は39歳で出産した新宿溝口クリニック・チーフ栄養カウンセラーの定真理子さんにお話を伺いました。上・中・下の3本立てで紹介します。
毎月月経があり、健康診断で問題が無くても妊娠できない
こんにちは。定真理子です。私が勤めるクリニックでは、食生活の指導や足りない栄養素をサプリメントで補う「栄養療法」という指導を行っており、妊娠を希望する女性が多く来院します。
35歳過ぎまで仕事に打ち込み、いざ妊活を始めてみたらなかなか授からないという方、1人目はすぐにできたけど2人目はなかなか授からないという方、高度な不妊治療を受けていても妊娠に至らず、私達の元にたどり着いたという方、様々です。
不妊治療の現場では、栄養を指導するドクターはごくわずか。これといった不妊の原因が見当たらないのに妊娠できない人が、栄養療法を始めた途端、妊娠したという事例も多く見てきました。
何といっても、私達の体をつくっているのは食べ物から得られる「栄養」です。髪や肌や爪などが栄養状態によって変化するのは実感があると思いますが、内臓の粘膜や血液、脳の神経細胞など、目に見えない部分も栄養状態の影響を受けて日々生まれ変わっています。妊娠に関わるホルモンももちろん、栄養によってその働きが左右されます。
毎月きちんと月経があり、健康診断で問題が無い、一見健康そうに見える人でも、普段の食生活が間違っていると妊娠できないことが多々あります。それだけ妊娠と栄養には密接な関わりがあるのです。
栄養療法を始めると、ホルモンの分泌が正常になるので、生理痛の軽減や月経不順、無排卵月経が改善されて妊娠率も高まります。また、卵子のアンチエイジングケアができ、産前産後も元気に乗り切れるというメリットがあります。妊娠中にお母さんが十分な栄養を取っていると、元気で優秀な子どもを産むこともできるんですよ。
それでは、妊娠するために大切な栄養素についてお話しします。
自分の今の食生活、いくつ当てはまる?
妊娠体質に変える食生活にはいくつかのキーワードがあります。
まずは、下記のような食生活が当てはまるか、チェックしてみましょう。
一見、体に良さそうな食生活ですが、妊娠したいと考える方に私はおすすめしていません。一つずつ解説していきましょう。
「高タンパク・低糖質」な肉・魚中心の食事を
前ページのチェック表にある項目を、なぜ私がおすすめしていないのかというと……。
●朝はフルーツやスムージーを取るようにしている
フルーツには果糖やショ糖が多く含まれ、血糖値の急激な上昇を招きます。血糖値が急激に上昇すると、今度はそれを下げようとすい臓からインスリンが大量に分泌されるため、逆に低血糖状態に陥ります。血糖値の急激な上げ下げが日常的に続くと、排卵障害の原因になります。
フルーツのなかでも、特にバナナは糖質が高いですね。フルーツを取るなら、糖質の低いイチゴ、グレープフルーツなどを少量に。
●食事は野菜を中心とした和食を心がけている
野菜中心の食事はタンパク質不足になりがちです。野菜が体に大切なのは言うまでもないことですが、妊娠を考える方には肉・魚を意識して取ることをすすめます。
●タンパク質は肉や魚ではなく豆腐や納豆で取っている
畑の肉と呼ばれる大豆製品。肉や魚を食べなくても大豆製品さえ食べていれば十分と誤解されがちですが、栄養はその食材に含まれる量だけでなく、吸収率まで考えなくてはいけません。大豆製品などに含まれる植物性タンパクと、肉や魚に含まれる動物性タンパクを比べると、吸収率がいいのは動物性です。植物性タンパクばかり取っていると、タンパク欠乏を招く可能性があります。新しい命を迎えるためには、その材料となるタンパク質が不可欠です。
●コレステロールが気になるので卵は一日1個まで
コレステロール値が高いのは危険と強調されがちですが、実は低いのも非常に危険。血清コレステロール値が低いグループのほうが死亡リスクが高いというデータもあります。また、不妊に悩む人には低コレステロールの傾向がありますし、妊娠中のコレステロールが低いと、早産・低体重児のリスクも上がります。
コレステロールは女性ホルモンの材料や細胞膜の材料です。善玉(HDL)コレステロール、悪玉(LDL)コレステロールという言葉がありますが、性ホルモンの材料になるのは悪玉のほうで、本来は善玉も悪玉もなく、どちらも体に必要なものです。コレステロールの多くは肝臓で作られるため、食材のコレステロールは血清コレステロール値に反映しません。良質なタンパク質を含む卵は一日に2個でも3個でも食べてOKです。
●就寝前3時間は食べないようにしている
寝る前に食べると太るからと、空腹状態のまま寝てしまうと、睡眠中に低血糖を起こします。低血糖が不妊の原因になるのは前述の通りです。寝る前に空腹を感じたときは、ナッツやゆで卵、チーズなど糖質の低い軽食を食べるといいですよ。
引用元:
妊娠率アップ 35歳からでも効く食事とは?(日経DUAL)