壊死性腸炎は腸の組織が急速に壊死する病気で、早産の赤ちゃんの12%で見られる。

 腸閉塞(イレウス)の原因にもなり、かかると4人に1人が死亡する重要な病気だ。

 この壊死性腸炎を防ぐには母乳が最も効果があると以前から知られていたが、ネズミの実験で母乳がこの病気を予防、治癒する仕組みが解明され、新たな治療法につながる可能性が生まれたようだ。

 米国ピッツバーグ大学医学部を含む研究グループが、粘膜免疫学会(SMI)の公式誌ムコサル・イミュノロジー誌オンライン版で2015年4月22日に報告した。

原因タンパク質の発見

 研究グループによると、米国では毎年50万人近くの赤ちゃんが早産で生まれており大きな問題という。

 今のところ、腸の壊死部分を手術で取り除く以外に治療法がなく、手術で命を取りとめても、腸が十分に栄養を吸収できなくなるために一生、食事に不自由する可能性がある。摂食支援の要る「短腸症候群」などの合併症のリスクも高まる。

 研究グループは以前に、「TLR4」という病原体への対応に関係するタンパク質が壊死性腸炎のダメージをもたらす要因であると発見していた。

 TLR4が未熟だと、腸を成熟させる役割を果たせなくなり、酸素供給を遮断して細胞の壊死が発生する。

発症後でも効果

 研究グループは、母乳に入っていて腸の成長を促す役割を持つEGFの関与を突き止めた。

 腸の細胞がEGFの刺激を受けて、腸の細胞が死ぬのを防いでいるという仕組みだ。EGFをうまく受け取れないと母乳の効果がうまく出てこずに壊死性腸炎になってしまうという結果だ。

 最後に、壊死性腸炎を発症したネズミの赤ちゃんに母乳を与えると、腸の細胞死が減って症状が軽くなった。

 EGFは、腸の細胞死を防ぐと同時に細胞の成長を回復させて治癒を促進すると見られる。

 動物実験の段階ではあるものの、母乳が出ない人もいることから考えると、このEGFの働きを応用すると、壊死性腸炎を防ぐための治療法につながる可能性がある。


引用元:
イレウスの予防薬にもつながるか、母乳が早産の赤ちゃんの壊死性腸炎を防ぐ仕組みを解明(Medエッジ)