妊娠合併症の一部が、母親自身の体を守る「免疫」の困った働きによって胎盤や胎児の細胞を攻撃して起こっているのかもしれない。

 米国のシンシナティ大学の研究グループが、生物医学を専門とする有力医学誌ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーション誌のオンライン版で2015年3月9日に報告した。

母体の免疫細胞が胎児を攻撃
 免疫とは、異物から体を守るために元来備わっている人間の機能の一つだ。

 胎盤や胎児の細胞も異物として認識されて、そのために免疫が反応してしまうのではないかとこのたび検証された。

 研究グループによると、妊娠中の母親の免疫システムはデリケートなバランスを取っているという。感染に対する防御を維持しつつ、一方で免疫の過剰反応から赤ちゃんを傷つけないようにしているというものだ。

 妊娠中の母体に深刻な感染症を引き起こす「リステリア菌」を用いた動物実験によって免疫細胞と胎児の状態を調べている。

胎盤は盾だが、異常事態も
 感染を人工的に引き起こす実験をした結果、母親側の免疫を担っている「好中球」や「マクロファージ」などの変化が確認できた。

 困った免疫の働きも確認できた。「CXCL9」と呼ばれる分子を作り出し、胎児を攻撃するようになる。

 通常は胎盤は盾になって攻撃はうまく回避できるはず。そこが。妊娠中に母体がリステリア菌に感染したときに、この盾がなくなってしまう。結果として、母親の攻撃を担っている「T細胞(てぃーさいぼう)」が直接、胎盤や胎児を攻撃した。

 リステリア菌に感染したために、胎児は再吸収されて消失したり、死産に至ったりした。

攻撃を避ける方法も
 一方で、この攻撃をできなくする処理で胎児を守ることにも成功した。攻撃を担うケモカインを受け止めている受容体「CXCR3」と呼ばれるタンパク質を邪魔するという方法だ。胎児が母親に再吸収されてしまったり、死産に至ったりするのを食い止めた。

 感染が原因ではない妊娠合併症についても、CXCR3のブロックが効果的だった。

 今後、人間でも母親の免疫が関係するような妊娠合併症ではここで見たような胎児を守る仕組みを生かせるような道ができるのかもしれない。



引用元:
妊婦自身の「免疫」が妊娠中の困った問題起こす、そこには防ぐ手も、米国グループ報告(Medエッジ)