マンモグラフィーによる乳がん検診の有効性をめぐっては、世界中でさまざまな議論が繰り広げられている。(「肺のレントゲン検査は無意味、本当に検診は早期発見できて命が助かるの?」を参照)
米国では、がんが見つかりにくいタイプの乳房組織を持つ人に対し、マンモグラフィー以外の検査も推奨するよう法律で義務付けられている州がある。
今回、乳がん検診にマンモグラフィーと超音波検査を併用している、米国エール大学医学部スミロウがん病院ブレスト・センターの研究グループが、この併用の効果についての現状を解析し、エール大学医学部のウェブサイト「エールにおける女性による健康に関する研究」で、2015年2月4日に発表した。
まるで「吹雪の中のシロクマ」
乳房は、遺伝やホルモンバランスなどが原因で、人により組織密度が異なる。マンモグラフィーで乳がんの検診をしたとき、密度が低い人では、背景が脂肪組織で灰色の中でがんが白く見えるが、密度が高い人は、背景も白く写るので、がんが見つけづらく、見逃してしまう可能性も大きい。まるで「吹雪の中でシロクマを探すようなもの」とも言われる。
2009年、米国コネティカット州において、「乳房組織密度告知法」が初めて制定された。この法律は、乳がん検診でマンモグラフィーを受けた女性に乳房の組織密度を知らせるよう、診断機関に義務づけたものだ。さらに、高密度だった人には、超音波検査やMRI検査などの選択肢もあると告知するよう義務づけられた。同様の法は、他の州でも続々制定されつつある。
コネティカット州にあるエール大学医学部スミロウがん病院ブレスト・センターでも、この法律を受け、2009年から超音波装置を使った乳がん検診を開始した。同センターの研究グループは今回、マンモグラフィーと超音波検査の併用の効果についての調査研究を行った。
3つの検診方法を比較
この研究は、乳がん検診のために、2009年〜2012年に同センターでマンモグラフィーと超音波検査を受けた女性約4000人を対象として行われた。
同センターでは、従来のマンモグラフィーに加えて最新の「3Dマンモグラフィー」も備えている。今回、3通りの場合に分けて、乳がんが見つかった数を比較した。3通りとは、(1)従来のマンモグラフィーのみを使用して検診(2)従来のマンモグラフィーと超音波検査の組み合わせで検診(3)3Dマンモグラフィーを使用して検診。
結果、従来のマンモグラフィーだけの場合、約1000人に5人の割合でがんが見つかった。マンモグラフィーに超音波検査を併用した場合には1000人に8人、3Dマンモグラフィーでは100人に1人の割合で見つかった。
今回、最新鋭の3Dマンモグラフィーが最も検出率が高かったが、従来のマンモグラフィーと超音波検査の組み合わせも十分有効で、今後も続けるべきだと研究グループは主張している。
高密度知らされた人の4割が「不安」
一方で、検診を受け、組織密度が高いと診断された人たちの意識調査も行われた。
2013年1月〜10月に同センターで乳がん検診を受けた人のうち、組織密度が高かった約800人(平均年齢53歳)にアンケートを行った。
結果、マンモグラフィー検診を受けた約9割が、法律に則り、自分の乳房の組織密度が高いと知らされていた。知らされた人のうち約4割は、高密度と知って不安が増えたと回答していた。
さらに、約9割は医師から「再検査が増えるかもしれない。針を刺して組織を取って調べる可能性もある」と聞かされても、今後の検診では、まずは超音波検査を選ぶと答えた。
日本にも同じような波がやってきそうだ。一人でも多くの乳がんが早期発見されるために意味のある検査法は何なのだろうか。
引用元:
マンモグラフィー、米国で新たな規制の波、乳がん拾い上げに超音波追加は?(Medエッジ)